任意売却・競売 follow

住宅ローンが払えない、、どうしようもない、、となると「売るしかないか・・」と考えると思います。

その「売る」となったときに一番重要なことは、「アンダーローン」「オーバーローン」かということです。

アンダーローンとは・・物件の時価(現在の相場)が、住宅ローン残高を上回っている状態。
つまり、物件を売却すれば、住宅ローンが完済でき、資金が手元に入ることです。

オーバーローンとは・・物件の時価(現在の相場)が、住宅ローン残高を下回っている状態。
つまり、物件を売却しても、住宅ローンが完済できず、差額を払わなくては売却ができないことです。

アンダーローンの場合は、売却をして資金を手にして賃貸物件に引越しをする等生活を立て直すことができますが、オーバーローンの場合で、差額が数百万、数千万単位で高額な場合は売却したくてもできず、八方塞がりになってしまいます。

そこで、よぎるのが、「競売」か「自己破産」しかないのか・・・ということですが、オーバーローンの場合でも売却できる方法が、「任意売却」です。

「任意売却」の「任意」とは、「強制」の反意語です。

つまり、強制的に売却させられる「競売」と違い、自らの手で任意で売却できることを言います。

【任意売却のメリット】

1.競売よりも高値で売れる可能性があり、債務が減らせる。

競売は、評価額が低く、それ以上で落札されてしまうと債務が多く残ってしまいます。
任意売却の場合は、銀行の保証会社等の債権者と協議をして時価(相場)で市場に売出をするため、高く売れる可能性があり、債務が減らせます。また早く売却できることにより遅延損害金が減らせます。

2.手元に引越し費用等資金が残る可能性がある。

オーバーローンで手元に1円も残らないのではなく、仲介手数料、管理費等の滞納金、引越し費用など、売却にかかる経費は債権者の合意が得られれば売却代金から控除されます。
その為、手元にお金が無くても売却ができます。(その分、残債務が増える)

3.競売と知られずにスピーディーに売却ができる。

競売申し立てがされる前に任意売却ができれば、差押登記が入らないので、公開されることなく物件が売却できます。
競売よりも早く売却が完了できることになります。

4.引越し先、引越し時期が自由に決められる。

売買契約の期日にもよりますが、基本的に引越し先や引越し時期を買主と話し合いをして決められるので、競売のように強制的に退去させられるということはないです。

5.無理のない残債の返済計画が組める可能性がある。

任意売却後の残債は、法的整理か私的整理で払っていくことになりますが、私的整理(自分で債権者と交渉して払っていく)の場合、生活状況に応じて分割払いを認めてもらうケースもあります。

6.精神的ストレスが軽減でき、プライバシーの保護が図れる。

競売だとネットや新聞等で公開されてしまい、家に不動産業者等が来たりして近所の人にバレてしまいますが、任意売却だと通常の売却方法と同じなので、住宅ローンが払えなくて売却するということが第三者にバレることはないです。
ただし、物件を買ってくれる買主には任意売却だということはわかってしまうこともあります。

7.任意売却後にそのまま住み続けられる可能性がある。

前述の⑤セール&リースバック、⑥親子間売買が任意売却でもできる場合があります。
競売ですと、関係者が落札できる保証はなく、第三者に落札されてしまとその人から賃貸で借りるということは、条件が合わず、結局退去を要求されるというケースが多いです。

住宅ローンが払えないけど、競売ではなく自らの手で売却をして生活を立て直すということで、前向きになれることも多いです。

※任意売却ができるかは、銀行や保証会社等の債権者の合意が取れることが条件になります。引越し代が必ず出るという保証はありません。
※オーバーローンの場合は、任意売却後に残債が残り、返済していかなくてはなりません。残債が払えない場合は、法的整理、私的整理の選択肢があります。

任意売却・競売の残債の処理方法

任意売却でも競売でも、不動産売却額よりもローン残額がオーバーしていたら、担保は外れても「無担保」の残債務は残ります。
原則、その無担保債権には遅延損害金が加算され続けます。
債務の処理方法としては、大きく分けて2つあります。

1.法的整理

法的に債務を整理する方法です。主な方法として、以下の3つがあります。

①自己破産

債務者が自己の財産を換価処分して債権者に配当し、それでも支払い切れない場合に債務の支払い義務を免除(免責)してもらう手続きです。
免責が下りれば借金はゼロになり、免責後に財産を築いても免責前の借金を返済する必要はありません。ただし、自由意志により返済することは認められています。

②個人再生

裁判で借金総額を大幅に減額してもらい、それを決められた期間で分割払いにしてもらう制度です。自己破産と異なり、返済を続けなくてはなりませんが、財産の処分が必須ではなく、職業制限もないため、自己破産ができない事情がある人にはメリットがある方法です。
また、住宅資金特別条項という制度が利用できれば、住宅ローンはそのまま継続でき、自宅を売却せずに他の債務を整理することも可能です。

③任意整理

弁護士が債務者に代わって債権者と交渉し、利息のカットや長期分割払いなどを認めてもらって返済可能な返済条件に変更することです。
これは裁判外の手続きなので、法的な制限が少ないというメリットはありますが、住宅ローンの残債務に関する整理には適さず、少額債務の場合によく利用される方法です。

その他、特定調停を利用する、消滅時効を援用するなどの方法もありますが、任意売却後の残債務に関していえば、利用されることが多いのは、自己破産か個人再生がほとんどです。

法的整理のメリットとしては、以下の点が知られています。

  1. 合法的に借金がゼロになる
  2. 弁護士が代理人になるので、債権者と直接やり取りすることがなく、精神的に安心
  3. 債務がなくなることで、生活をリセットできる
  4. 相続人に借金を残さなくてすむ
  5. 免責後は資産形成が可能

一方、法的整理のデメリットとしては、以下の点があります。

  1. 財産を失う(99万円以下の現金は失わない)
  2. 解約返戻金20万円以上の生命保険は解約しなければならない
  3. 保証人がいる場合、迷惑がかかる(場合によっては保証人も法的整理が必要になる)
  4. 職業、資格制限がある
  5. 官報に住所と名前が載る
  6. クレジットカードが使用できなくなる
  7. 破産期間は旅行や引越しが制限される
  8. 破産費用がかかる
    (破産:同時廃止20~40万円、管財事件50万円~、個人再生:50万円~)

2.私的整理

私的整理とは、法的整理によらず、債権者と債務者との自主的協議により、債務の返済をしていく手続きのことです。
これには明確な規定はなく、債権者の意向や債務者の状況などで返済方法が異なる可能性があるため、一般論として具体例を挙げることはできません。
住宅ローンの残債務の無担保債権に関する私的整理の処理方法はおおむね以下の通りです。

①支払える額の返済で交渉

任意売却の決済前に生活状況報告書や返済可能金額について申告させる債権者もあるので、無理のない支払い金額で交渉できる余地はあります。
この場合、「返さない」のではなく、「返せない」という状況を誠意をもって伝え、「いくらなら返せるのか」を理解してもらうことが大切です。

②サービサーとの交渉

債権回収会社(サービサー)とは、金融機関から債権の委託を受け、あるいは債権を譲り受けて回収を行う、法務大臣の許可を得た民間の債権管理回収専門業者です。
「委託」の場合は、分割返済で全額返済をしないと、原則として債務はなくなりません。住宅金融支援機構はサービサーに回収委託をしているため、全額返済をしないと債務は残り続けます。ただし、遅延損害金については、元金を完済した場合には減免または免除してもらえるケースもあります。
「譲渡」の場合は、サービサーは債権を銀行から安く買い、高く回収することを事業としています。そのため債務全額ではなく、ある一定の金額の一括返済による和解ができる可能性があります。これにより債務がなくなったというケースも実際にあります。
ただし私的整理なので、「こうすればこうなる」と断言はできませんし、サービサーは債権回収のプロのため、安易なやり方で臨むと痛い目にあうこともあります。

私的整理のメリットとしては、以下の点があります。

  1. 手続きに費用がかからない
  2. クレジットカード等がそのまま使用できることもある
  3. 家族や周りにわかりにくい
  4. 自己破産しなくてすむ
  5. サービサーとの交渉で債務が圧縮できる可能性

一方、私的整理のデメリットとしては、以下の点が知られています。

  1. 相続人に債務が相続されてしまう
    (それを防ぐためには相続放棄をしてもらう必要が生じます)
  2. 相続人に相続放棄をさせると、今後形成した財産が継承できない
  3. 自分で交渉しなくてはならず、不確定要素が多く不安
  4. 毎月返済をしていかなくてはならない
  5. 給料差し押さえ等のリスクがある
  6. 完済するまで個人信用情報がブラックになることがある

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