住宅ローン問題支援ネットの高橋愛子です。
私が事業再生業界で尊敬しているコンサルタントに、吉田猫次郎先生という方がいます。
先日、猫次郎先生のメルマガに心の底から共感するお話がありました。
ちょうど、メルマガを読んだ直後にこんなネットニュースを見たので、先生への共感はなおさらでした。
大阪・咲洲庁舎ホテル社長ら2人逮捕 強制執行逃れで資産隠しか
経営難だったホテルの社長たちが、資産の差押えを避けるために、別会社の口座に売上を送金させていた、という事件。
判決確定前に強制執行が可能な状態になっており、資産隠しはそれがわかってから実行されたようです。
2019年1月に開業したホテルは、11月にはすでに家賃滞納が始まり、翌年には支払いやフロア明け渡しの民事訴訟になっていたとあります。
相当に厳しい経営状況だったことが察せられます。本当に大変だったのでしょう。
その場しのぎの安易な方策にメリットはない
しかし、どんなに大変な状況で、辛く厳しかったとしても、「不正」には断固として賛同できません。
当事者でない私が、きれい事として「不正はダメ」と言っているのではありません。
私が長年携わっている「不動産の任意売却」の現場は、会社の倒産や経営者の破産といったことと非常に近いところにある場合が多く、事業再生のためのお手伝いをさせていただくなかで、私も、さまざまなケースを見てきました。
不動産は目に見える資産なので、差押えの対象として特定されやすい。
そのため、「自分に何かある前に、子どもに安く家を売ってしまえないか」「親族に買ってもらって競売や差押えを回避できないか」というような相談が、私たちのところにも寄せられます。
そして実際、私たちへの相談とは関係なく、そういったその場しのぎのようなことを安易に実行してしまう方は多いのです。
不動産は資産隠しの詐害行為につながりやすい
こういったことは、債権者に対しては詐害行為(債務者が、債権者の利益を害することを知りつつ、自身の財産を意図的に減らすこと)となり、
場合によっては犯罪になることがあります。また、安く売ったら売ったで贈与税などの税金が発生することもあります。
不動産は特に資産隠しの詐害行為につながりやすいので、安易な売買は避けるべきということは、ぜひ理解していただきたいと思います。
では対策は何もないのかといえば、そうではありません。
経営が窮地に陥っている状況や、借金の返済が滞っている状態での不動産の売却も、債権者に事前に相談して売却代金に了解が得られれば行えます。
これは適正価格で合法的に行う売却ですから、詐害行為にはあたりません。あくまでも、不当に安い金額で誰かに売却してしまうようなことはダメ、ということです。
悪徳コンサルや不動産業者は確実にいる
事業再生の現場などで、切羽詰まった経営者の方がこういった相談を持ちかける相手を間違えると、その先は悲惨です。
自分の利益だけをがめつく追求する悪徳コンサルや不動産業者は、残念ながら確実にいます。そういった人たちは、リスクには触れず、
「すぐ売ったほうがいい。大丈夫、うまくいくから」というようなアドバイスを繰り返すのです。
人間、窮地に陥っている状況でさらに厳しいことを言われれば反発しますし、なんでもいいからとにかく励ましてくれる、安心するような言葉をかけてくれる人になびいてしまうのはあることです。
でも、悪徳コンサルや不動産業者にそそのかされた結果、ご本人が詐害行為で訴えられる、というケースは少なくない。
また、コンサルと不動産業者がグルになって安く買い叩き、結局、依頼者は不動産を取られただけで終わる、ということだってあるのです。
寄り添うことと、不正への協力は違います
精神的にも辛い時に「冷静になって」と言ってもなかなか届かないと思いますが、こういう局面の時こそ、一度立ち止まることは必要だと思います。
私は、依頼者の方にできる限り寄り添ったアドバイスを心がけていますが、できないことやダメなこと、リスクは必ずはっきりとお伝えします。
詐害行為や脱税行為、虚偽申告等、犯罪になる可能性があることには協力できません。ダメなことをすれば結果的に依頼者のためにならず、そして協力した私も、罪に問われます。
ブログの冒頭に書いた猫次郎先生のメルマガのテーマは、まさに「不正のお手伝いはできない」というものでした。
前述しましたが、私も任意売却の現場で、事業再生に絡んで不動産でお困りの経営者の方からの相談をよく受けます。
悪徳コンサルに間違った指南をされて、状況は最悪。結局、コンサル料をかけて資産を取られ、債権者の手前破産もしづらい、という八方塞がりの方もいます。
弊社では「住宅ローンが払えない」というご相談はもちろんですが、「事業再生に関連する不動産問題」や、「自己破産」「個人版民事再生」なども検討しているが、
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