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任意売却物件の価値を上げ、堂々と手掛ける

住宅ローン問題支援ネット の高橋愛子です。

昨今の不動産市場の高騰を受け、増えてきたお問い合わせが「任意売却物件はどうしたら買えるんですか?」というものです。
このブログでも何度か書いている「競売物件を買いたい」というご相談と同じで、任意売却物件(以下、任売物件)のほうが、一般市場の不動産よりも安価に購入できるのではないか、と考える方からのお尋ねです。

結論から言ってしまうと、競売物件の購入(入札)と違い、任売物件購入へのアクセスは、一般不動産のそれと大差はありません。私の知る限りでは、任売専門の仲介業者はいても、任売物件だけを載せている専門ウェブサイトは見当たらず、皆さんがよくご覧になるような物件サイトに、一般物件と区別なく売り物件として掲載されています。

任売物件も、通常の売却と変わらず不動産業者の仲介により販売するもの。競売の場合はその事実が周囲にもわかってしまいますが、任売物件では仲介業者に個別に売却理由を聞かない限りは基本的にはわかりませんから、売却の理由が経済的事情だということを知られたくない売主さんには、いくばくかの安心材料になると思います。

「任売だから安く買える」ことはありません

任売物件なら安いのではないかーー。

冒頭にも書きましたが、こういった予測は、実際のところほぼ、はずれています。
任売=安い、というイメージを持っておられる方は多いのですが、競売市場の高騰と同様、任売市場も高騰中。強いて言えば、オーバーローンで残債がある場合など、条件によっては交渉次第で多少安くなることはあるかもしれませんが、基本的には抵当権者等の債権者も市場でできる限り高く売って債権を回収したいという意向があり、「任売だから安く買える」ということではないので、その認識は持っておいたほうがよいと思います。

なぜ任売専門会社にしなかったのか

私は20年前ほど前に、任意売却を専門とした不動産会社を立ち上げ独立しました。その後、現在の不動産コンサルティング会社を創業しましたが、その際、私はこの会社を任売専門の不動産会社にはしませんでした。

なぜか。
最初に立ち上げた会社でさまざまな方のご相談を受け、多くのケースを見てきたなかで、これだけは譲れないという思いを強くしたからです。それは私の信念と言ってもいいかもしれません。

売主さん、物件が、不当に舐められることがないように

任意売却の売主さんは、金銭的に苦しい方がほとんどです。トラブルを抱えて家を手放さざるを得ない、でもせめて競売ではなく任意売却したい、という決断の背景にはそれぞれの事情があります。でも、いざ任売市場で動き始めると、どうしても「なんだ任売物件か」という、一種、見下すような対応をされることがある。私が独立した当初はまだここまで任売は一般化していませんでしたから、正直なところ、かなり嫌な気持ちになったこともたくさんありました。

任売物件と言っても、物件に落ち度はありません。でも他人の目というのは難しいもので、売主さんは言うまでもなく、物件、仲介業者である私も含めて、蔑んだりすることがある。「任売なんだから金額交渉ぐらい当然できますよね」と平気で言ってくる人もいます。

私はそんな風潮がとても嫌でした。だから、売主さんや物件が不当に舐められることがないよう、売主さん側に立つ仲介業者として一般物件も任売物件も区別なく、自信をもって交渉できる会社にしよう、それが自分の役目だ、と腹を決めたのです。

瑕疵保険の付帯は有用な方法

そのためには、任売物件の価値を高めるのも大事なことです。

売主さんは、先ほども書いたように経済的に苦しい方がほとんどですから、売却価格はなるべく下げたくない。その代わりに、特典のようなものを付けるのもひとつの方法です。

たとえば「瑕疵保険」既存住宅売買瑕疵保険)を付帯する。瑕疵保険とは、中古住宅の検査と保証がセットになった保険のことで、中古住宅を購入した後で家に欠陥が見つかった場合、修繕費用等を保険でカバーできるというものです。

以前にもブログ(「競売物件なら安い?は、もはや幻想。落札者のリスクには何がある?」)で書いたように、任売物件は競売物件と違い「契約不適合責任」(物件購入後に何か問題があった際には売主が責任を負う)がありますが、必須のものではないこと(※)、また実際、任売物件の場合は売主の経済的事情により、売主が物件引渡し後に契約不適合責任を負担することが難しいので契約不適合責任は免責になる、というケースが多いため、この保険は有用です。
※「契約不適合責任」は、売主が宅建業者(仲介業者)の場合は必須(引き渡しから2年間)ですが、一般人同士の売買の場合は通常期間2~3か月で、あとは免責が可能です。任意売却物件は宅建業法に基づいて取引されるため、競売に比べればリスクは少ないですが、細かく言うと、このような任意売却特有の特約が付く場合があります。

国交省も乗り出して加速する建物インスペクション

任売物件のバリューアップの一環として私が活用しているのが、「建物インスペクション(状況調査)」です。

これは、既定の講習を修了した建築士(既存住宅状況調査技術者)が行うもので、「構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分について」目視や計測、非破壊について検査してもらいます。売主、または売主の同意を得た買主、どちらが実施してもよい、となっています。

そもそもは中古物件を普及させるための施策のひとつでした。海外ではヴィンテージ物件であるほど価値が高かったりしますが、日本はまだまだ、そこまでの意識はない。しかし一方では急速に進む少子高齢化、空き家問題など、看過できない社会問題は山積みです。そんな状況を鑑み、中古物件の価値向上を図ることで不動産取引に安全性と安心感を付加しよう、という動きが国交省も乗り出して加速しているのです。

20184月の宅建業法改正によって不動産会社にはインスペクションの斡旋が義務付けられ、その後、20244月の標準媒介契約約款の改正により、不動産会社がインスペクションの斡旋をしない場合は、その理由を契約書に明記しなくてはならなくなりました。決して動きが早いとは言えない業界にとって、このふたつの改正は、投じられた大きな一石と言えると思います。

保証を付けて任売物件を堂々と手掛ける

建物インスペクションにかかる費用は、物件によるものの、だいたい5~10万円くらいが相場です。これを、任売物件で、買主負担で行ってもらうのはそれなりにハードルが高いのですが、場合によっては私たち仲介業者のほうで費用を負担してでも実施することもあります。

仮に何か問題が見つかったとしても、最初からそれがわかっていれば取引においての透明性が高くなりますし、問題がなければ、そこに瑕疵保険をつけることで、買主の安心感がさらに高まります。

“保証付き”として堂々と任売物件を手掛けることは、厳しい状況にいる売主さんに対して私たちができる、せめてもの励ましでもあるのです。そしてこのことにより、売主、買主、債権者、そして仲介業者にとっても全方位WINWINになれる取引だと思っています。


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