住宅ローン問題支援ネット の高橋愛子です。
先週のブログでは、15年ぶりに競売物件の数が増えたという話を書きましたが、今回ももう少し、競売についてお話したいと思います。
競売物件の増加と同様、昨今はこれを買いたいと考える一般消費者も増えています。
競売物件には、原則債務者以外なら誰でも入札することができます。以前は「怖い」「怪しい」といったダークなイメージがあってあくまでもプロ向けの市場でしたが、法律の改正によって反社会的勢力は競売に関わることができなくなり、現在は非常にクリーンなものになりました。
近年の不動産価格の超高騰も後押しして、「競売なら安く買えるのではないか」と一般の人が考えるのは、わからなくはありません。当NPOにも、競売物件を購入したいというご相談は割とあります。
しかし、実は最近の競売市場もかつての印象とは裏腹に価格が高騰しており、落札するのはなかなか難しいのが現状です。「競売なら安く買えるのではないか」という一般消費者のイメージは過去のものとなり、逆に、一般人が競売市場に入り込むことで価格を押し上げている、という現象まで巻き起こっています。
競売物件と任意売却物件の違いはしっかりと理解を
競売物件に目を向ける時に並行して比較されるのが、任意売却物件です。任意売却も、諸事情あって不動産を売らねばならなくなった方からの購入になりますが、このふたつには様々な違いがあります。
一言で言えば、競売物件は、任意売却物件に比べていろいろな面でリスクがつきまとう、ということです。競売は民事執行法に基づいて「処理」されるもので、その管轄は裁判所。つまり、競売とは債権者が抵当権を実行してお金を回収する手段ですから、そのための処理を、裁判所が窓口となって行うわけです。一方の任意売却物件は宅建業法によって守られた売買「取引」になるので、通常の不動産売買とほとんど変わりません。
両者の違いについては、下記の表も見てみてください。
任意売却物件 | 競売物件 |
宅地建物取引業法に基づく取引 | 民事執行法に基づく処理 |
*宅建業者が物件調査をする |
*融資が付きづらい(自己資金が必要) |
*物件の内見ができる | *物件調査は自己責任(3点セットで確認) |
*契約不適合責任がある | *物件の内見はできない |
*消費者保護が手厚い | *契約不適合責任がない |
*引渡しは契約通りに行われる | *すべて訴訟で解決 |
*鍵の受領がある | *引渡し交渉は買った人が行う |
*反社会勢力排除の条例がある | *鍵の受領の保証はない |
*反社会勢力排除の条例がある(→民事執行法改正による) |
落札して家に行ったら人が住んでいた!? ――ありえます
宅建業法が適用されていると、たとえば物件調査や内見、鍵の引き渡し、重要事項説明書の作成など、多くを不動産仲介業者が担います。何か問題があった際には売主が責任を負う「契約不適合責任」もありますから、消費者はとても手厚く守られているのです。
ですが競売では、言ってしまえば購入に関して頼れるものは「何もない」。物件に何か問題があったとしてもすべて自分で解決しなくてはならず、この点を十分理解して落札しないと、非常な困難に巻き込まれる可能性が高くなります。
内見ができないため、判断は「3点セット」と呼ばれる①現況調査報告書、②評価書、③物件明細書の資料を見るのみ。事前に説明は一切ありませんし、契約不適合責任もありませんから、住宅に何か重大な欠陥があっても自分で解決しなくてはなりません。
また、落札したはいいけれどいざ家の中に入ってみたら人が住んでいた、というケースもあります。
競売はあくまでも調査時点の情報で進んでいくため、途中、知らないうちに債務者ではない人(親族など)が住み始めてしまうようなことが、実際にあるのです。
この場合の明け渡し交渉、退去交渉は債務者自ら行うか、すべて裁判所を通じて強制執行手続きが必要であり、金銭的な負担も、時間的手間も、精神的なストレスも、多くのものが降りかかってくる可能性が常にあることは、覚悟しておく必要があります。
価格が安くてもリスクは高いということも
そのような事情があることから、基本的に競売物件はスタート価格が安いのです。ただ、前述のようにそれでも競売物件市場は高騰しており、かなり驚くような価格で落札されたりしています。
以前このブログで書いたように、競売を公的なオークションのように捉えれば、それはひとつの売却手段であるし、購入の手段でもあるとは思います。共有名義人が行方不明で判子を押してもらえないとか、差押がたくさん付いていてどうしても外せないといった、致し方ない理由で競売になることもありますから、別に競売自体を何ら否定するものではありません。
しかしリスクも伴いますから、いくら価格が多少安かったとしても、結果的に確実な物件ではない、リスクのほうが高いかもしれないことは、十分頭に入れておいてください。
物件購入にも「安全・安心」は大切なポイント
私たちは、競売になってしまった方からのご相談を多く受けるため、多くの事例を見てきていますが、やはり、競売になるにはそれだけの理由があることがほとんどです。債権者と確執があって折り合わなかったとか、こだわりが強すぎる物件だったり、権利関係に問題があり市場では売りづらい等々、蓋を開けてみないと予測もつかないことも多々あります。
不動産という高い買い物は、やはりできるだけ円満に、宅建業法という消費者保護が手厚い法律に則って安全、確実に物件を購入できる任意売却のほうが、私はよいのではないかと思っています。
売る側も買う側も、競売物件についてのアドバイスは数多く行っていますので、不安や心配ごとなどあれば、いつでもお気軽にご連絡ください。
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