住宅ローン問題支援ネット の高橋愛子です。
1月に不動産競売流通協会(FKR)が公表した、2024年の「競売不動産出品データ」を元にした分析によれば、同年の競売物件数は1万1415件で、前年比329件の増加だったそうです。
2009年のリーマンショック以降、競売物件数は減少傾向が続いていましたが、15年ぶりに増加したということで業界内で話題となりました。
リーマンショックやポストコロナで持ちこたえていたが…
理由はさまざま考えられますが、ひとつには制度関連が挙げられると思います。
リーマンショックを受けて09年に制定された「中小企業金融円滑化法」は、中小企業の資金繰りをサポートする(返済猶予や借入条件の緩和、弁済負担の軽減など)ことが目的でした。この法律によって返済のリスケジュールが本当にしやすくなった等の感覚は私も持っており、これを境に不良債権が一気に減ったのは事実です。
円滑化法は、13年には期限を迎えて役目を終了。10年以上も前に終了した制度ではあるのですが、その後、なんとか頑張ってきた中小企業がここにきて残念ながら力尽きるというケースも想像され(帝国データバンクの調査では2024年の倒産件数は1万件近くで、11年ぶりの高水準です)、競売件数増加に影響はあったかもしれません。
またコロナ禍でも「新型コロナ感染症特例リスケジュール」などいろいろな支援策ができましたから、ポストコロナの現状が、円滑化法と同じように競売件数増加に関連した可能性も、否定はできないと思います。
実際、私がご相談を受ける経営者の方などは、この数年をコロナ融資でなんとか生き延びてきたけれど、結局、事業再生までは至れず金融機関にももう待ってもらえないために会社を閉じ、法人所有の不動産や社長の自宅が競売になる例が少なくありません。
また一方、ここ数年不動産価格が上がり続けているなかで無理に身の丈に合わないローンを組んで家を買い、いざ払えなくなった時には任意売却もできない、うまくいかない、という方も多い印象です。
大きな要因には投資物件破綻があるのではないか
しかし、競売物件数増加の大きな要因には、実は「投資物件破綻」が挙げられるのではないかと、私は思っています(投資物件問題の過去の関連記事はこちらから)。『住宅新報』1月28日号にもその分析について触れた記事があり、とても納得しながら読みました。
悪徳不動産業者に騙されて、住宅ローンで投資物件を買った(買わされた)ことが金融機関にバレて一括請求になる……。「フラット35」を悪用した不正融資に代表されるように、この問題についてのご相談はいまだ、本当に多い。騙されるのは若い方が圧倒的多数ですから、一括請求を払えるような財力はまずありません。債権者である金融機関もこのようなケースに情状酌量の余地はありませんから、オーナーチェンジ価格で任意売却に応じてくれることもほぼありません。結果、競売。
現場をずっと見ていると、こういったことも今回の競売件数増加を後押ししているように思えてなりません。
任意売却はもう「普通のこと」
ちなみに、反対に競売が減少していた理由として私が感じるのは、任意売却の普及が大きいのではないかということです。
もちろん、前述の制度などで金融機関の返済猶予に対する姿勢が昔に比べてかなり柔軟になり、破綻が減ったというのはあると思いますが、今や、ローンを滞納したとしても、金融機関もすぐには競売に動かず、「任意売却という方法がありますよ」とお客さんに提案しますし、インターネットで「住宅ローン 滞納」と検索すれば、任意売却の方法や専門家の情報は山ほど出てきます。
私が任意売却の専門家として独立した20年前に比べて広く一般化し、もう任意売却は「普通のこと」になっているんですね。そして、昨今の不動産価格の高騰。競売までいかずに物件を売却できてしまう、ということも競売減少の一因になっていたのでしょう。
競売申立後は時間との勝負。一刻も早く相談を
いざ競売になってしまった時、当事者はどう動けばよいのでしょう?
最近も、競売にかけられてしまったというご相談が何件かありました。皆さん、一様に動揺されていますし、頭の整理もついていないようで、とにかく私は丁寧に状況をうかがうことに徹しました。
落札寸前のタイミングでのご相談となると解決の選択肢はかなり限られてしまいますが、競売にかけられてもまだ任意売却ができる可能性はあります。ただ、競売での売却は裁判所の仕事ですから、放っておけば手続きはどんどん進みます。時間が経てば経つほど不利になるので、諦める前に、ぜひ一刻も早くご相談に来ていただきたいです。
実際のところ、「もう落札されてしまったのですが」とか、「もう入札が始まっているのですが、なんとかなりませんか」とおっしゃる方は非常に多いのです。「落札されてしまったのですが、出廷したほうがいいんでしょうか」「落札後の残債はどうしたらいいですか」「もうどうしたらいいかわからなくて」といったご相談もあります。
とにかく私たちが言えるのは、競売になりそう、または競売が決定したら、一刻も早くご相談いただきたいということ。
「今後起き得る競売後の不安」(落札者から追い出されるのか、裁判所からの呼び出し通知への対応はどうしたらいいのか、など)についても説明やアドバイスは可能ですから、どんな小さなことでもお話しいただければと思います。当NPOは競売問題の対応件数もとても多いので、きっと、何かお役に立てるはずです。
「住宅ローンが払えない」というご相談はもちろん、離婚問題、債務問題、不動産トラブル、投資物件トラブル等でもお困りのことがありましたら、こちらもお気軽にご相談ください。ご相談内容に適したアドバイス、専門家の紹介もすべて無料で行っています。まずは何でも、ご遠慮なくお問い合わせください。
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