住宅ローン問題支援ネット の高橋愛子です。
まず最初にご報告ですが、この度、NPO法人 住宅ローン問題支援ネットの公式LINEを開設しました。
今後はLINEでのご相談も承れますので、当NPOのホームページTOP画面から友だち登録していただき、ご相談についてご連絡ください。
皆さまの解決の一歩となるよう、全力でお手伝いさせていただきます。ぜひお気軽にご活用ください。
さて、以前と違って、夫婦共働きはいまや普通のことになっています。大きなライフイベントである住宅購入についても、若年層ほど早い段階でペアローンを組み、購入に踏み切る方はとても多い。カーディフ生命が2024年12月に実施した「第6回 生活価値観・住まいに関する意識調査」にも、その傾向が表われています。
調査結果によると、夫婦の生活費を「ふたりで負担」するのは20代で約7割。「物価高が不安」と回答する人が約8割いても、「住宅購入意向者は約3割」で、「約4人に1人がペアローン派」なのだそうです。
ペアローンとは、ひとつの物件に対して夫と妻それぞれが主債務者として住宅ローンを組む方法のこと。
調査結果では、ペアローンを選ぶ理由は「単独よりも大きな金額を借りられる」というのがトップ。ほか「それぞれ控除が受けられる」「パートナーと対等な関係を築きたい」などが続きます。
お互いローンを組むことでモチベーションも上がるでしょうし、調査の最後にある「物件を共有名義(共有財産)としたい」という思いもわかります。こういった面は、ペアローンのよいところだと思います。
ペアローンを組んで半年後、離婚することに
ただ、そこに水を差すつもりは毛頭ないのですが、当NPOのようにさまざまな住宅ローン問題のご相談を受けている身としては、この「共有名義」「ペアローン」という部分が、仮に離婚となった場合、とても大きな足かせになる……ということは、やはり考えないではいられません。
半年ほど前にあったご相談は、結婚してまだ一年も経っていないという20代の娘さんを持つお母様からのものでした。
娘さんとその夫は、結婚後、早々にペアローンで新築マンションを購入しましたが、ローンを組んでから半年後に離婚話が持ち上がってしまい、不可避な状況。しかし、フルローンのうえに、まだ返済実績もほとんどないため借り換えも難しく、まずこのペアローンを解消するための方法はないでしょうか、というお話です。
共有財産を持つことでなんとかやり直せるかと……
離婚の原因は、夫の浮気でした。
マンションを購入する前から実は夫婦仲に問題があったそうですが、家という共有財産を持つことで、なんとかやり直せるのではないか――妻にはそんな思いもあったと言います。
フルローンを組んで半年後のことですから、当然オーバーローン状態です。夫側は、マンションを売却して、オーバーローン分を妻と折半したいと言ってきましたが、妻側は家にこだわりがあってマンションを売りたくない。自分の親に債務者になってもらう等で、なんとか維持したいと主張し、相容れません。
残念ながら、フルローン、返済開始から半年程度、オーバーローンとなると、今すぐペアローンを解消することは相当ハードルが高い。返済実績のないなかで親にローンを付け替えるというのも、金融機関ではまず通りません。
離婚原因の夫が全額か、共に返済実績を積むか
ローンの借り換えについてや、金融機関への相談の仕方等もアドバイスをしましたが、すぐには難しい。そこで私はふたつの提案をしました。
ひとつは、今回の件は夫のほうが浮気という有責離婚原因を作っているのだから、売却するにしてもオーバーローン分は全額夫に払ってもらう。
もうひとつは、数年間など一定の期限を決めて妻がマンションに住みながら共にローンを払い、その間に、借り換えなり、売却なりの検討をするということ。時間を稼ぐ、ということです。
ローンを払っているうちにオーバーローンが解消するかもしれませんし、返済実績を積むうちに借り換えができるかもしれません。
お母様はお嬢様と相談して、夫側と協議を進めていくとのことです。ペアローンゆえの厳しい話ですが、でも実際のところ、こういった事例は決して珍しいものではないのです。
初手の対策は、知識を身につけておくことに尽きる
フルローンのペアローンを組み、ふたり力を合わせて返済していこう、というのは、もちろん前向きでとてもいい決断だと思います。結婚や、家を購入といった大きなライフイベントの時には、「人生においての、瞬間最大風速の幸せの風が吹いている」と多くの方が感じるもの。多少、周りから反対されようが、不安があろうが、必ずふたりで乗り越えられるはずだと思ってしまうものです。
また最初から離婚を想定して結婚する人はいませんし、夫婦で共に生きるモチベーションを持つ意味でも応援します。
ただ一方で思うのは、長い夫婦生活のなかでは、互いのリスク管理が必要な場面が出てくる可能性はある、ということです。
対策は、知識を身につけておくこと。これに尽きます。
このブログでもよく書いていることですが、「冷静さも持って、物件を新築ではなく中古にしてみる」、「離婚時の感情と勘定の折り合い」について実際何が起こりうるのか知っておく、「オーバーローンのアンダーローンについて理解しておく」、「共有名義のメリット、デメリットを知っておく」……。また、買う前に預貯金額を増やして頭金を少しでも入れる、などなど、頭の隅に入れておいていただきたいことはたくさんあります(拙著『離婚とお金』もご参照ください)。
「離婚」は弁護士に相談できる問題だと思いますが、「離婚と住宅ローン」の相談窓口は、実はほとんどありません。だから私自身、『離婚とお金』という本を書いたという経緯があります。
私たちは法律家ではないので、離婚そのものに関してのアドバイスはできませんが、離婚で住宅ローンが足かせになるケースは多々ありますから、個別に事情をお聞きして、住宅ローンに関する解決方法は当NPOでアドバイスをさせていただいています(場合によっては弁護士の紹介も可能です)。
今回は、冒頭の調査結果を見たことで、個人的に少しの危うさを感じたことから、ペアローンについて書きました。
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