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リースバックに救われる人たち

住宅ローン問題支援ネット の高橋愛子です。

新年明けましておめでとうございます。

本日より本年の業務を開始しました。今年も住宅ローン、それに関わる周辺の諸問題について様々な悩みを抱える相談者の方に、全力で協力させていただきたいと思っております。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、2025年最初のブログは、リースバックについて書きたいと思います。
ここでも以前触れていますが(過去のブログもご参照ください)、最近、ある相談者の方のことで思うところがありました。

リースバックという手法は、当事者の事情によってはとても有効な手段です。
やむを得ない事情で自宅を売却しなくてはならないが、住み慣れた家には住み続けたい――。こういった希望を持つ方は多く、私も、当NPOの理事たちも、これまで数え切れないほどのリースバック提案をしてきました。そして相談者の方からたくさんの感謝をいただくことができました。

どちらか一方だけが不利益を被ることはない

ですが、テレビCMや広告などで「リースバック」という言葉はよく聞かれるようになったものの、仕方ないことなのですが、世間一般ではまだまだ誤った認識があり、
「リースバックなんて、持ち主を騙して不動産業者や投資家が利益を得ているだけだ」
という偏見が少なからずある。

実際、普通に家を売却するのに比べれば、リースバックでの取引価格は相場の7~8掛ですし、その後住み続けるには買主に家賃を払わなくてはなりません。買い戻す際にも価格に手数料がプラスされますから、業者や投資家には「利益」が発生します。

リースバックの買主は、「投資」として物件を購入します。ですから、買う側にも「投資として成り立つのかどうか」というリスクは常にあります。
また金銭的に厳しい状況でのリースバックがほとんどですから、「売主からきちんと家賃を払ってもらえるのか?」という不安だってある。リースバックでどちらか一方だけが圧倒的な不利益を被る、ということはないのです。

こういったことを表面的にしか理解していない方々が、「すべての不動産業者や投資家は騙してあくどく利益を得ている」と思い込んでしまうのは、本当に残念なことだと思います。

売れば6000万円、リースバックなら5000万円

先日、ある経営者の方からこんなご相談がありました。

現在、再起を賭けて事業再生中だが、資金繰りが完全にショートしてしまい、金融機関からももう借り入れができない。ついては自宅をリースバックして資金を作りたい、ということでした。

ローンの残債は4000万円。ただ、普通に売却した場合は6000万円で売れる物件なので2000万円の差額が手元に残ります。
リースバックだと5000万円くらいでの取引となり、そこから残債の返済と諸経費を引くと、手元に残るのは800万円程度。しかも今後は月30万円程度の家賃も払っていかねばなりません。
将来的に家を買い戻したい希望はありますが、見込みはあまりないという状況です。

そんななかでの、2000万円と800万円。
相談者は事業再生中で、資金がいますぐ必要な経営者の方です。

この家は自分の絶対的な拠り所

私は少し考えてから、リースバックではなく、普通に売却することを提案しました。

ところが相談者の方は、間髪入れずに淀みなくこうおっしゃったのです。
「客観的に見たら絶対に普通に売ったほうがいいと言われるのはわかってるんですが、普通に売れば時間もかかる。会社はいますぐ、資金が必要です。それに、この家に住み続けられることですごく自分のモチベーションが上がる。
高く売って2000万入るのはありがたいけれど、すぐに800万の資金が得られて、家も残る。
改めて思ったけれど、この家は自分の絶対的な拠り所なんです。普通に売ったらそれがなくなってしまう。だから、リースバックでお願いします

それでもダメなら自分自身に初めて納得がいく

相談者の方が帰られてから、考え込んでしまいました。
そんなに資金繰りが大変なのであれば、少しでも手元のお金は多いほうがいいはず。ならば売ったほうがいいのではないかと思っての提案でした。でも、相談者の方の価値観は損得だけに固執するものではなかったのですよね。

「ここで売ってしまうことは簡単。でもいまは決断できない。リースバックをやって頑張って、それでもダメだった時に初めて自分のなかで納得がいくと思うから」ともおっしゃっていました。
この方にとって家は生きている証。絶対に譲れない、自分を保つためのもの。
相談者の方は、リースバックに救われました。

傷つきながらも踏ん張る人たちの力になりたい

こういった資金繰りに困っている方は、タクシーの話にたとえられるかもしれません。

私でも、おそらくこれを読んでいる方でも、日常でとても急いでいる時にはとりあえず目の前に来たタクシーに乗ってしまうように、資金繰りがショートしてまったく余裕がないと、とにかく急場を凌ぐために消費者金融からでもお金を借りてしまう。
でも急場が過ぎたら今度は高金利の返済が始まり、また〝急場〟がやってくる。時間があればタクシーではなく電車に乗って、安い金利での調達も可能かもしれないのに……

でも、あの時目の前のタクシーに乗ったから、それでなんとか急場を凌げたから会社は助かった、高金利だけれど倒産は免れた――そういったことは実際にあるのです。
急ぐことを優先してたとえ金利が高かったとしても、それは、譲れない目的のためには決して無意味なことではないのだと思います。

冒頭の話に戻りますが、リースバックを表面的にしか理解していない方々が勘違いしている「すべての不動産業者は騙してあくどく利益を得ている」という思い込み。
最近SNSでリースバック業者を簡単に悪人と決めつけるような投稿をしている人を見てしまったこともあり、とても複雑な気持ちです。

業者によっては騙された人はいるかもしれませんが、今回の相談者をはじめ、リースバックに助けられた人はそれよりもずっとたくさんいます。

深く考えずに投稿した一言を見て傷つく人もいる。
私たちは、傷つきながらもがむしゃらに踏ん張っている方々の力に、常になりたいと思っています。

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