住宅ローン問題支援ネット の高橋愛子です。
早いもので今年もあと1か月半くらいで終わりますね。
折からの気候変動の影響もあって、今年もいろいろな災害がありましたが、やはり元旦に起きた能登半島地震のことは、強烈に印象に残っています。
被災された方々には心よりお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復興を心からお祈り申し上げます。
先日、専門紙『住宅新報』(9/17号)にあった小さな囲み記事が目に留まりました。
新型コロナウイルス感染症や、能登半島地震での被災により、住宅ローンや機構融資の返済が困難になった方への、相談窓口についての案内です。
新型コロナの時には、私たちのところにもこの件に関連する住宅ローンについてのご相談は多く、今回改めて、「被災と住宅ローン」についてこのブログでも書こうと思います(コロナ関連の過去記事はこちらからご覧いただけます。能登半島地震や自然災害による債務整理に関する参考サイトなどは、このブログの最後をご覧ください)。
本当にもう競売や自己破産しかないのか?
住宅ローンが払えない状況に置かれると、おそらく多くの方はすぐに「売却」や「競売」「自己破産」という言葉が脳裏をよぎるのではないかと思います。
それはある意味仕方のないことで、“まずい状況”に陥りそうな時に情報収集と思ってネット検索すれば、出てくるのはだいたいが最悪のケースを書いた記事ばかり。
焦った気持ちでそのまま記事に引っ張られ、「もう競売しかないんだ!」と思い込んで悲嘆にくれる、などという展開は、とても想像がつきます。
ですが、本当にそうでしょうか?
金融庁の最新データでは96.3%のリスケ実行率
金融庁が定期的に出しているデータに「金融機関における貸付条件の変更等の状況について」というものがあります。
「貸付条件の変更」、いわゆる「リスケジュール」の実績データですね。
最新版(令和2年3月10日から令和6年9月末までの実績)を見ると、「債務者が住宅資金借入者である場合」では申込数のうち96.3%のリスケが実行されています。
特に新型コロナ以降、さまざまな災害や、年明けの能登半島地震など、「被災」が原因でローン返済が困難になった方たちに対して、金融機関、住宅金融支援機構などがさまざまな取り組みを行っており、ローンが払えない=売却、競売だけではない、という例は実際いくつもありました。
半年間のリスケが通り、最も大切な「猶予」を得た
新型コロナの時に当NPOにいらした相談者の一人は、コロナと同時期にした離婚の影響もあって一時的に大幅収入減になりローンが払えなくなりましたが、金融機関に相談したところ、半年間は金利だけの支払いでよい、という融通が認められました。
オーバーローンではなかったことが幸いしたとは思います。
しかし相談したことで半年間という時間的な猶予ができた。その間にさまざま頑張ったけれど、どうしても家計の復活や収入の増加が見込めなかったために、最終的には家を売却することにはなりました。
でも半年間の模索があるなかで、正式なリスケですから競売にならず家には住むことができ、一旦冷静になって人生設計を考え直すことができたことはとても大きかったと、すべてが終わった後にホッとした表情で話していらしたのが印象的でした。
ここで何も動かないまま半年が過ぎていたとしたら、解決のための選択肢をつかむこともなく、住宅ローンは期限の利益を喪失して競売しかない、という状況になっていたでしょう。
この相談者の方は、時間の猶予を持てたことで前向きに売却を、そして納得して人生を前に進めることができました。
落ち込む前に、やるべきことはたくさんあります
ふだんからローンの滞納状態が続き、多重債務に陥っている場合は金融機関もリスケを納得することはなかなか難しいと思いますが、災害のように自力ではどうにも抗えない事態が起きたときは、まずは金融機関に相談してみていただきたいと思います。
状況によって前出の相談者の方のように条件変更できることはありますし、売却や競売にとらわれて落ち込む前にやるべきことはたくさんある、ということは、ぜひ覚えておいてください。
精神的に余裕がないなかでの「ダメ元」かもしれません。でも、動かなければそれもわかりません。相談するかしないかが、分かれ道になることはあるのです。
金融機関はちょっと行きづらい、と思っている方もいるでしょうし、どこに相談したらいいのか、どのように話せばよいのか、など、方法がわからない場合はぜひ当NPOの無料相談にいらしていただければと思います。
その際は、なるべく早めのご相談をお勧めします。ローンを滞納してからの相談になるとリスケのハードルは高くなりますので、解決の選択肢を多く持つためにも極力、滞納状態になる前にご連絡ください。
【参考ホームページ】
令和6年台風第10号により住宅に被害を受けられた方へのご返済、災害復興住宅融資等に関する相談窓口のご案内:住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)
令和6年能登半島地震関連情報:住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)
一般社団法人 東日本大震災・自然災害被災者債務整理ガイドライン運営機関
一般社団法人 全国銀行協会「大規模な自然災害でローンの返済が困難になったら」
そのほか、「住宅ローンが払えない」というご相談はもちろん、離婚問題、債務問題、不動産トラブル、投資物件トラブル等、お困りのことがありましたら、お気軽にご相談ください。ご相談内容に適したアドバイス、専門家の紹介もすべて無料で行っています。まずは何でも、お気軽にお問い合わせください。
メールでのご相談は24時間受付可能。関東・銀座相談所は、土・日・祝日の無料相談会を行っておりますので、対面や電話でのご相談予約も可能です。
相談所は、関西、中国・四国にもございます。ご相談の場合は各相談室にお問合せください。
【11月の土・日・祝日無料相談会】
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11月23日(土)
10:00~
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15:00~
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11月24日(日)
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※面談時のマスク着用は、任意とさせていただきます。
電話、メール、オンライン相談(zoom)もご予約可能です。
【お問合せ・ご予約】
TEL:0120-447-472
お問合せフォーム:
https://www.shiennet.or.jp/database2/contact/
お悩みを抱える方に、まずは正しい知識を備えていただきたいと思ったのがこの本を書くきっかけでした。また、
・定年後でも住宅ローンが残っている
・定年後に住宅ローンが払えない
・住宅ローンが払えなくなるとどうなるのか
・自宅はあるが老後資金が無く先行きが不安
という方に向けて、解決方法や知識や知恵を詰め込みました。
「55歳から」という年齢をあえてタイトルに入れたのは、定年前の少しでも早いうちに老後に向けての対策を備えたほうがよいという意味を込めています。必ず55歳から、ということではありませんが、早ければ早いほど解決策の幅が広がります。
老後の住宅ローン問題や老後の資金計画に少しでも不安がある方に、ぜひ読んで頂きたいと思います。