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「住み続けること」にとことんこだわった、損得抜きのリースバック

住宅ローン問題支援ネット の高橋愛子です。

テレビCMなどで「リースバック」という言葉をよく耳にするようになりました。 

これ自体は10年以上前からあった方法なのですが、あまり一般化はしておらず、

CMで初めて知ったという方も多いかもしれません。 

リースバックとは、所有不動産を売却してその代金を受け取るが債務がある場合はその代金で返済)受け取った後もそのまま、その不動産を買手から賃貸物件として借りて居住・使用し続けるという方法です

買い手との条件交渉によっては、数年後に買い戻す契約(再売買契約)を交わすこともできます。 

住宅ローン特則付き個人再生で自宅を守ったご夫婦から… 

この手法が、近年の高齢化に伴いニーズがどんどん高まっているのです。 

以前、こんなご相談を受けたことがありました。 

60代の共働きのご夫婦で、ずっと多重債務状態だった方がいらっしゃいました。

住宅ローンだけでなくカードローンや子どもの教育費、生活費など、収入以上にかなり支出が多く、日常的に家計が回らなくなっている状態。

住宅ローンが一度払えなくなり、「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)付き個人再生」に踏み切った経験がありました。 

 「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)付き個人再生」とは、

住宅ローンだけを残して、その他の債務を丸ごと整理する、いわば個人版の民事再生です。

通常、減額対象になる債務は選べませんから、住宅ローンもその対象になりそうですが、個人再生のそもそもの主旨=債務者の経済状態を再建することが目的、という背景から、

生活基盤である住宅は残せるように、住宅ローンについては例外的にこの制度が適応されます。 

債務整理なのでブラックリストには載ってしまいますが、

当時、このご夫婦はどうしても家だけは守りたいという思いがあり、

圧縮した債務の返済と住宅ローンを継続して払うという、大変ではありますが自分たちが納得できる選択をしたのでした。 

それから数年が経って、同じご夫婦から、今度はリースバックの相談があったのです。 

とにかく「住み続けること」に最大の価値と意味がある 

お話はこうでした。 

住宅ローン特則付個人再生以降、返済は概ね終わったものの、やはり住宅ローンの残債は重い。

まとまった貯蓄はないし、近々定年延長も過ぎて完全リタイアになるので収入がかなり減るため、今後を考えるととても不安。退職金には手をつけたくない。 

いま住んでいるマンションを売却して手元の資金を得る方法もあるが、長く住み続けているこの家だけは、これからも変わらず守りたい――。 

実際、家財など荷物の量も相当なので、年齢も考えると引っ越す気力はまったくない。そこでリースバックはできないか? 

リースバックは条件によってさまざまなパターンがあるため、「売却してもそのまま賃貸で住み続けられる」と一言でまとめられるほど単純ではないのですが、

このご夫婦の場合はとにかく「住み続けること」に大きな価値と意味がある。私はその部分を十分に理解したうえで、提案をしていきました。

リースバックは最後の資産を安く売ってしまうことにもなる  

リースバックでよく勘違いされることのひとつに、売却益のことがあります。 

リースバックでの物件価格はだいたい時価の7掛~8掛が相場。

時価3000万円の物件なら2100万円~2400万円となり、損得だけで考えれば、売ったほうが断然いいわけです。

リースバックだと、このご夫婦の持つ最後の資産を安く売ることになってしまう。つまり「損」をしてしまいます。 

住み続けたい理由はいろいろです。「子どもにとっての実家」だから、希望するならゆくゆく買い戻してくれればいいし、

自分たちはお金のことではずっと精神的に追い込まれて働いてきたから、リースバックで得るキャッシュで住宅ローンを完済し、

その後は自分たちの稼ぎで家賃を払い、退職金には手をつけずに安定的に暮らす、という道筋を早く立ててしまいたい――。 

売った場合のシミュレーション(引っ越し、家賃発生、買い換えなども見込んだ収支など)もすべて提示しましたが、それでもご夫婦の意思はまったく揺るぎませんでした。 

当然ながら人生観というのは本人だけのものです。

経済的な観点からいえば、資産を安く売ることは「損」ですが、このご夫婦にとって家は損得以上に価値のある、「プライスレス」な精神的支柱。

ですから、本人が納得したうえでのことであれば、それを尊重し、希望を実現するための最良の支援をするのが私の役割だと思っています。 

複数の試算を比較して決めることが納得感につながる 

ご夫婦は私に相談に来る前に、リースバックのポータルサイトに登録して試算をしていました。

それを見ると、時価3000万円の物件に対して売買価格が2100万円、家賃が14万円。まさに、さきほど説明した「7掛」でした。

しかも最初から期間が決められている定期借家での賃貸契約というおまけ付き。これではかなり条件が悪いと言えます。 

そこで私たちが提携している専門事業者にも試算してもらったところ、売買価格2400万円、家賃13万円に、本人か本人の親族であれば賃貸借契約中はいつでも買い戻しが可能、という好条件での買い手が見つかりました。 

私たちはあくまでも中立的な立場での支援なので、ほかにもいくつか信頼できるリースバック事業者を当たってご夫婦に提案しましたが、最終的に、売買価格2400万円、家賃13万円の買い手にお願いすることで決定しました。 

無理のない家賃でそのまま居住し続けることができ、当面のキャッシュを得たことで溜まっていたローンなどもすべて圧縮。

退職金にも手をつけずにリースバックが完了。しかも買い戻し可能な条件が付いたことで、

ご夫婦に、大事な家に対する少しの「所有」の感覚が残ったことも、お二人の満足度が高まった理由のひとつかもしれません。 

情報はあっても総合的に判断する」ことはとても難しい

リースバックは本当に多くの条件やルールが付いて回るため、たとえば買い取り価格の適正性、賃貸借契約の形態、家賃、更新料、買い手はどんな人なのか……といった情報収集をきちんとして、総合的に判断する必要があります。

逆に言えば、自ら情報収集する意識を持っていないと、見えない部分が多すぎて思わぬ落とし穴にはまる可能性は常にある。

しかし一方で、「総合的に判断する」ということほど曖昧な言い方もないですよね。

がんばって情報収集しても、「判断」となるとポイントがわからないからできない。でもそれはごく普通のことですから、そういう時こそ、私たちの事務所に相談に来ていただきたいです。 

バックグランウドは、人によって大きく異なります。

不動産を手放すという局面に至ったとき、まずは自分にとって優先したいことは何なのかをしっかり考えてみてください。

解決策はリースバックだけとは限らないかもしれないですし、リースバック一択だったとしても、一体どんな条件が適しているのか、専門家と精査することは必須だと思います。 

ブログでもいつも紹介させていただいていますが、私は昨年、リースバックを詳しく知ってほしくて『これで安心 55歳からの住宅ローン破綻回避術』という本を書きました。

これから検討したいと思っている方は、ぜひご参考になさってください。

読んでもあまりよくわからないようでしたら、ご遠慮なく相談に来ていただければと思います。 

また、「住宅ローンが払えない」というご相談はもちろん、そのほかについても、ご相談内容に適したアドバイス、専門家の紹介もすべて無料で行っています。まずは何でも、お気軽にお問い合わせください。 

メールでのご相談は24時間受付可能。関東・銀座相談所は、土・日・祝日の無料相談会を行っておりますので、対面や電話でのご相談予約も可能です。 

相談所は、関西、中国・四国にもございます。ご相談の場合は各相談室にお問合せください。 

11月の土・日・祝日無料相談会】 
11月9日(土)
10:00~
13:00~
15:00~
17:00~

11月16日(土)
10:00~
13:00~
15:00~
17:00~

11月23日(土)
10:00~
13:00~
15:00~
17:00~

11月24日(日)
10:00~
13:00~
15:00~
17:00~

※面談時のマスク着用は、任意とさせていただきます。
電話、メール、オンライン相談(zoom)もご予約可能です。

【お問合せ・ご予約】
TEL:0120-447-472
お問合せフォーム:
https://www.shiennet.or.jp/database2/contact/

【新刊】「これで安心 55歳からの住宅ローン破綻回避術」

お悩みを抱える方に、まずは正しい知識を備えていただきたいと思ったのがこの本を書くきっかけでした。また、 

・定年後でも住宅ローンが残っている 

・定年後に住宅ローンが払えない 

・住宅ローンが払えなくなるとどうなるのか 

・自宅はあるが老後資金が無く先行きが不安 

という方に向けて、解決方法や知識や知恵を詰め込みました。 

55歳から」という年齢をあえてタイトルに入れたのは、定年前の少しでも早いうちに老後に向けての対策を備えたほうがよいという意味を込めています。必ず55歳から、ということではありませんが、早ければ早いほど解決策の幅が広がります。 

老後の住宅ローン問題や老後の資金計画に少しでも不安がある方に、ぜひ読んで頂きたいと思います。 

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