こんにちは。
住宅ローン問題支援ネット の高橋愛子です。
埼玉の大利根のいちごを頂きました↓
つる付きのいちごで「やよいひめ」という品種のようです。
普通のいちごよりも香りが高く、とっても甘くて美味しいです!!
以前もいただき、あまりの美味しさに感動しました。
今年も食べる事ができて幸せでした♡ ありがとうございます。
さて、120年ぶりの民法大改正で、不動産の売買、賃貸の契約に関する実務が、
2020年4月1日~変更になります。
もう10日後に迫った施行ですが、改正事項は多数ありますが、注目すべき大きなポイントとしては、
【売買】は、「瑕疵担保責任」→「契約不適合責任」になる。
【賃貸】は、「賃貸借の保証人の極度額の定め」が定められる。
ことかと思います。
■「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」になるとどう変わるのか?
■「契約不適合責任」になった場合、任意売却に支障は出るのか?
について解説したいと思います。
■「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」になるとどう変わるのか?
【契約不適合責任とは?】
2020年3月末までは、「瑕疵担保責任」が適用され、
・「隠れた瑕疵」(主に雨漏り、シロアリ被害、給排水管の故障等)につき、売主は責任を負う
・買主が事前に知っていた事項については責任を負わない
・売買契約前までに発生した問題に限る
という条件で、売主の責任としては、
1.損害賠償請求
2.契約の解除(契約の目的が達せられない問題であれば)
の2パターンでした。
今回の民法改正で、2020年4月1日からは、「契約不適合責任」が適用され、
・「隠れた瑕疵」という概念が廃止される
・売主、買主が「知っていた」、「知らなかった」に関わらず責任を負う
・目的物の種類、品質、数量に関して契約の内容に適合したものを引き渡す義務を負う
・物件引渡し時点までの問題になる
とう条件になり、契約に適合しない種類や品質であるときは、
「債務不履行」、「契約違反」として法的責任を負うということになります。
そして、売主の責任は、2パターン増え、4パターンになり
1.追完請求(目的物件の修補請求が認められる)
2.代金減額請求(追完請求をしてもやってくれない場合、その不適合の程度に応じて買主は請求できる)
3.損害賠償請求
4.契約解除(契約の目的が達せられない問題に限定されていない)
となります。
瑕疵担保責任の期限については、民法上の原則は、
「瑕疵を知った時から、1年以内の権利行使」とされていましたが、
今回の改正で、
「不適合を知ったときから、1年以内の通知」となりました。
権利行使は1年以降でも良いということでこちらも買主側に便宜が図られています。
ただし、これらの規定は「任意規定」のため、個人間の売買については、特約が優先し、
実務上は、2ヶ月~3ヶ月間と定めることがほとんどです。
(※「任意規定」とは、「当事者の合意で変更可能」なこと。)
ちなみに、売主が建物建築業者又は宅地建物取引業者の場合は、「知った日から1年以内」に代えて
・建物建築業者が売主の場合の瑕疵担保責任は、引渡しから10年以上、
・宅地建物取引業者が売主の場合の瑕疵担保責任は、引渡しから2年以上、
と定められており、上記期間内の特約を設定しても無効です。
「そんな、厳しい規定ができたら、売った後の請求が怖くて売却できないよ」
という売主さんの声が聞こえてきそうですが、
こちらの規定は、改定後も「任意規定」のため、当事者の合意で変更が可能です。
そのため、実務上は、契約書の特約に容認事項等を記載し、売主の責任を限定しておけば、
引き渡し後に不安な期間が解消されます。
例えば、特約の条文はこんな文言です↓
「買主は、下記の容認事項を確認、承諾の上本物件を買い受けるものとします。
下記事項については引渡し後に売主に対し追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約解除
を行わないものとします。
【容認事項】・・・・・」
また、改正前も「瑕疵担保責任」を「免責とする」という特約をつけて、
売主の瑕疵担保責任は一切負わない、というもの可能でした。
(ただし、瑕疵担保責任免責の特約を付けても、売主が瑕疵を知っていながら、その事実を告げなかった時には無効)
そのため、今回の民法改正で、「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」に変更になり、
売主の責任は増えますが、特約でしっかり取り決めをすれば、不利になることはないでしょう。
また、買主は今まで以上に安全安心に不動産を購入できることになり、
物件の状況や売主の責任を明確にすることで、後のトラブルも回避できるようになると思います。
宅建業者はこれまで以上に物件の状況を調査し、買主に伝え、売主の責任の範囲を明確にすることが求められます。
契約前の建物インスペクションを行うことも一般化してくるでしょう。
■「契約不適合責任」になった場合、任意売却に支障は出るのか?
任意売却の場合、従前の取引でもほとんどが「瑕疵担保責任」は「免責」での取引です。
なぜかというと、任意売却(ここでいう任意売却とは債務超過の場合や破産等の債務整理の場合)は、
売却後に債務が残り、経済的な事情で売却後の不動産に何か瑕疵があっても、
・損害賠償することができない
・契約解除しても売却代金は全額返済に回ってしまっていて返金できない
という状況です。
そのため、「瑕疵担保責任を負う」という契約をしても、
何かあったときに、「責任を負う保証がない」というのが明らかです。
任意売却物件を仲介する不動産業者も、債務超過であることを知っているので、
そのような経済状況の売主に対して「瑕疵担保責任を負う」契約をすることは、
仲介責任にも及んでしまいます。
そのため、任意売却物件の場合は、「瑕疵担保責任免責」での取引が多いのです。
今回の民法改正で、任意売却物件に支障が出るかというと、
前述の通り、「任意規定」のため、契約書の特約で「契約不適合責任は免責」とすれば、支障は出ないと思います。
例えば、特約の文言はこんな感じです↓
「本物件は現況有姿売買とし、売主の契約不適合責任は免責とします。
買主は、下記容認事項を承諾し買い受けるものとし、引き渡し後に売主に対し、
一切の追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約解除をしないものとします。」
ただし、今までのように「任意売却物件だから、瑕疵担保責任は一切負わない」ということで、
「物件状況の告知」や「付帯設備の引渡し」について、説明を省略する等のことは通じなくなってくると思います
「責任は負えないが、告知をしっかりとする」という特約が一般化するのではないかと思います。
本来、任意売却物件で瑕疵担保責任免責(契約不適合責任免責)だから、「安い」わけではありません。
「責任は負えないけど、安全安心に買ってもらう」というのは原則です。
これまで以上に買主さんが安全に不動産を買えて、結果的に売主さんの利益になるということで、
不動産業界が活性化していくことを祈ります。
次回は、民法改正による「賃貸借の保証の極度額」について解説したいと思います。
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