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「フラット35を使った不正融資」問題の根深さについて

住宅ローン問題支援ネットの高橋愛子です。

日々、さまざまな事情を抱える方々から相談を受ける私たちですが、ここ数年を通じて最も多いのが、「フラット35」を使った不正融資問題についてです。

私はこれまで何度もブログでこの件について書いてきているのですが(※過去の関連ブログはこちらから)、相談者の方はいまだにネット検索などでそれを見てくださっていることが多く、いかにこの問題が根深く、まだまだ、解決に至っていないかということの表れなのだと思います。

若い世代が狙われている不動産投資の罠

不動産の悪徳仲介業者が20代、30代の若い方たちを狙って「不動産投資」のオイシイ話をちらつかせ、十分な説明もしないまま丸め込んでフラット35でローンを組ませ利鞘を抜く、という「事件」が続いています。

フラット35は住宅ローンであり、不動産投資にこれを利用するのは融資契約違反です。

そのため、不正利用に気づいた貸し手(この場合はフラット35を提供する住宅金融支援機構)は、当然、調査を開始し、違反しているとわかればローンの借り手に残債の一括返済を求めます。

仲介業者や売主業者は借り手ではないため、借金はあくまでも契約者だけのもの。

しかし一括請求されたところで、投資物件ですから第三者に賃貸中だったり、若ければ十分な貯蓄もないうえに大幅なオーバーローンで全額返済は不可能。その結果、自己破産などに追い込まれる――といったケースが、本当に後を絶たないのです。

何も知らない、無知であることは、武器を持たずに敵地に足を踏み入れることと同義。厳しい言い方をすれば、この問題はそういう面があるかもしれません。

しかし、悪徳不動産業者や時には不動産業者でもないブローカーのだまし討ちのようなやり口は詐欺と言ってもいいもので――というか詐欺で、もしかしたら金融機関の担当者も不正とわかっていながら業者とグルになっていることもあるかもしれない。

これは絶対に、許されることではありません。

「本当に大丈夫?」と、悪徳不動産業者に相談してしまう

少しでもおかしいなと思ったら、すぐに第三者に相談することはとても大切です。

でも、「ローン対象の物件に、本当に当事者(ローンの借り手)本人が住んでいるのかどうか」の調査が始まってしまうと、貸し手からの確認通知や通告が内容証明などで届くようになります。こうなって初めて、当事者は慌てます。

しかしその段階ではまだ、不動産業者を疑うところまではいかない。

そのため第三者ではなく、本当では自分を騙しているその業者に相談してしまうのです。

「こんな通知が来たけれど、どうすればいいですか。本当に問題はないんですか?」と聞いても、「大丈夫ですよ、よくあることなんで。自分が住んでます、と答えておいてください。みなさんそうやってるんで」と、業者は答えます。

そして「そういうものなのか……」と思い込まされてしまう。しかしこれこそが、当事者がローン債権者に対して無意識のうちに積み重ねている嘘やごまかしの上塗りなのです。

嘘やごまかしを続けることほど無意味なことはない

でも、嘘やごまかしは、必ずいずれボロが出ます。

不動産業者が当事者に、1ヶ月か2ヶ月くらい住民票を投資物件の住所に移しておくよう指示しますが、当事者はそもそもそこに住んでいないので、時期が過ぎたら住民票をまた元の住所に戻してしまう。

その結果、ローン債権者から「この住民票の動きはどういうことですか?」と問いただされる。それも〝ボロ〟のひとつです。

また、生活していることを確認するために光熱費の領収書提出を依頼されることがあります。

以前は、手元になければないでそれ以上追求されることはありませんでしたが、現在では、東京都水道局に指定期間の水道使用量証明書の提出を求められるようになりました。電気やガスは使わずになんとかなっても、水道を使わずに暮らすことはほぼ不可能。これがとどめです。

結局、当事者がどれだけごまかして嘘を重ねてもボロは出る。途中で自分の置かれた立場に気づき、逃げたいがために嘘やごまかしに全力を傾けることほど、無意味なことはないのです。

それよりも、時間が経てば経つほど解決の選択肢は狭まってしまうので、一日も早く気持ちを立て直して切り替えることのほうがよほど意味のある行動です。

契約違反をした事実は受け止めるしかない

契約違反で残債一括請求になると、ブラックリストに載ってしまうことになります。

相談に来る方はそれは絶対に嫌だと言うのですが、現実的に詐欺に遭っている状況では被害はそれだけにはとどまらず、債務超過で何百万も払わないといけない、でも一括請求は逃れたい、無理なら自己破産せざるを得ないのか……など、ブラックリスト以外にもさまざまな困難が降りかかります。本当に悲惨です。

先日、そんな状況に陥った20代の男性が、ご両親と一緒に相談にいらっしゃいました。

本人は、単純に将来に備えて投資物件を買っただけのつもりで詐欺に遭い、残債はご両親が一括返済。本人は精神的に傷ついて「将来結婚しても家も買えない。もう人生がいやだ」と泣き、ご両親はこんな息子に育ててしまったのかと泣き、とても心が苦しくなる時間でした。

一般消費者がこの業界のプロに騙された時、絶対に一般消費者は悪くないと私は思います。でも、やってしまったことは元には戻せませんし、契約違反をしたことは事実。それはそれとして受け止めるしかないのです。

受け止め、納得して、解決に向けて前進してほしいと心から願います。

こんなことで人生は終わらない!

解決への第一歩は、まず本人が自分の現状、実態を正確に把握することです。

どういう契約をしているのか、物件の時価はいくらなのか、オーバーローンがいくらなのか、賃借人契約はどうなっているのか、サブリースなのか……急いで調べることはたくさんあります。

それによって、取るべき解決策が見えてきます。オーバーローンを補填して物件を売却する人もいれば、賃借人に退去してもらって売却したり、債務整理や借り換えの道を選んだり、その人の状況によって策もいろいろです。

詳しい解決策については、過去のブログ(「フラット35不正さらに拡大」7つの解決策)を読んでみてください。

人間、真面目に生きていたって、悪意がなくたって、間違えることはあるし、もらい事故みたいなアクシデントだってあります。

だからこそ、事態が起きた後にどう動くかが大切だと私は思います。こんなことで「人生終わりだ」などと、間違っても思わないでください。

ちょっと言い過ぎかもしれませんが、弊社はこれまで、おそらくこの問題についての相談をどこよりも多く受けていると思っています。

相談者の方がいらっしゃる度に、私は各専門家と一緒に中立的な立場で本当にたくさんの解決方法を考え、アドバイスさせていただいてきた自負があります。

許せない悪徳不動産業者は山ほどいますが、とにかく、まず気持ちを切り替えて一刻も早く相談にいらしてください。セカンドオピニオンでも構いません。

また、「住宅ローンが払えない」というご相談はもちろんですが、相続、親子間売買などについても、ご相談内容に適したアドバイス、専門家の紹介もすべて無料で行っています。まずは何でも、お気軽にお問い合わせください。

メールでのご相談は24時間受付可能。関東・銀座相談所は、土・日・祝日の無料相談会を行っておりますので、対面や電話でのご相談予約も可能です。

相談所は、関西、中国・四国にもございます。ご相談の場合は各相談室にお問合せください。

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◆高橋愛子 新刊のご案内
『これで安心 55歳からの住宅ローン破綻回避術』
(税込1,430円/並製312ページ/日興企画)

お悩みを抱える方に、まずは正しい知識を備えていただきたいと思ったのがこの本を書くきっかけでした。また、
・定年後でも住宅ローンが残っている
・定年後に住宅ローンが払えない
・住宅ローンが払えなくなるとどうなるのか
・自宅はあるが老後資金が無く先行きが不安
という方に向けて、解決方法や知識や知恵を詰め込みました。
「55歳から」という年齢をあえてタイトルに入れたのは、定年前の少しでも早いうちに老後に向けての対策を備えたほうがよいという意味を込めています。必ず55歳から、ということではありませんが、早ければ早いほど解決策の幅が広がります。

老後の住宅ローン問題や老後の資金計画に少しでも不安がある方に、ぜひ読んで頂きたいと思います。

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