「不動産の公的なオークション」と聞いて何を思い浮かべますか?

住宅ローン問題支援ネットの高橋愛子です。

今日は「競売」についてお話ししたいと思います。 

 少し前の住宅新報にこんな記事がありました。 

2024年上期の、東京の不動産競売物件市場は物件数が前年同期比で2割くらい減っており、増える兆しはない」と伝えるもので、記事ではその背景や情勢なども分析しています。

その中で特に目を引き驚いたのが、東京・新宿区歌舞伎町の「新宿ゴールデン街」の競売物件が、100本の入札の末に8000万円で落札された、という件でした。 

3坪の物件が売却基準価額の10倍で落札

物件の広さは約3坪。昭和25年に建てられた木造2階建(延べ床面積20㎡弱)の土地付き建物で、売却基準価額は775万円。

売却基準価額は競売で購入する際の目安のようなもので、この物件はその約10倍で地元の不動産業者が落札したのだそうです。 

この話は極端なレアケースですが、実際、「売却基準価額の上乗せ率」の全体は、前年同期の59.81%から約6.7%の減少ではあっても

依然50%超えの高水準。つまり競売物件数は減っていても、市場自体は一般不動産と同じく高騰状態が続いているわけですね。

私もここ数年で、売却基準価額の2倍、3倍で落札された競売事例をいくつも見てきました。 

逆転しつつある債権者のスタンス

このことは、私が担う任意売却の現場にも影響があります。 

任意売却でなかなか売れなかった物件が、競売に切り替えたとたん、かなりの高額で売れたことがありました。

以前は債権者も、「競売は時間もかかるし、安く買い叩かれるから任意売却で、一般市場で少しでも高く売ってくれ」という

感じでしたが、今は「中途半端に任意売却で価格が安くなってしまうなら、競売で高く売ってほしい」という逆発想の方もおり、

任意売却と競売、どちらがベターなのかと相談に来る当事者の方も増えました。 

どうにもならない状況での、競売一択の提案 

私は、相談者の方に対して「競売は絶対に避けたほうがいいです」とは言いません。 

相談者の方の状況は本当にさまざまです。任意売却で一般市場で売れればそれはいいですが、たとえば 

・ご主人が失踪して連絡が取れず住宅ローンが払えなくなり、期限の利益を喪失しているが、夫婦共有名義のため売却もできない 

・差押えがたくさん入っていて、任意売却自体が不可能 

というように、もうにっちもさっちもいかない、本当に八方塞がりの状態に追い込まれている方だっています。 

 ローンが払えず、お金もないから引っ越すこともできない。生活も成り立っていない。仕事もパートやアルバイトで不安定。

任意売却する気力も体力もない――。

そういう場合は、私は最初から、競売も一つの選択肢だという提案をします。

精神的に追い込まれるだけで終わるくらいなら

なぜなら、競売のほうが楽だからです。 

任意で自宅を売却できる任意売却は、自宅を手放すとはいえ自分の納得感はおそらくそれなりに得られるでしょう。

競売は強制的なものですから、申立てとなればあとは自動的に進んでいきます。

価格や売り方、退去時期など自分の意思は一切反映されません。競売手続きが完了するまで、元金に対して遅延損害金も膨らんでいきます。 

でも、たとえば自宅に絡む余計な債務が自分のものではない場合(失踪した夫の借金による差押えや、住宅ローン破綻など)、

その方だけが責任を負わされて精神的に病んでしまいそうな時に、任意売却での債権者との面談や書類準備といった対応をするのは

心身を削る、とてもキツいことです。それで任意売却できたとて、手元には1円も残らず、借金も残ってしまう。

そんな状況に追い込まれるくらいなら、もうスッキリ、さっぱりと割り切って競売で終わらせるほうが、その方の人生をより早く、

前進させることができる。競売であれば、申立てから退去まで1年近く家に住み続けられる可能性が高いので、その間に心身を整え、

人生リスタートの準備もできます。私はそう考えています。 

ダークなイメージは過去のもの 

相談者の方が「競売」という言葉に怖いイメージを持っていることもよくわかります。 

かつては反社系のトラブルの温床になっていたり、

落札者に高額な立退き料を要求する〝占有屋〟の存在や、一般不動産売買と違って落札者(買い手)が保護されるルールがないため問題物件がそもそも多い、

などなど、ダークな印象ばかりが目立っていたのは事実です。

ですが、20038に民事執行法の改正がなされ、占有屋は抵当権者や競落人には対抗できなくなりました。

さらに2020年4月施行の民事執行法改正により反社関連は競売物件も購入できなくなるなど、競売市場はいま、とてもクリーンな方向に向いていることは、ぜひ認識していただきたいと思います。 

「公的な不動産オークション」であれば―― 

繰り返しですが、私は競売を推奨するわけではありません。解決策は、任意売却のほうがメリットが多いと思っています。

でも、相談者の方の問題解決策が本当に万策尽きたのであれば、いまの競売市場を鑑み、別の角度からの方法のひとつとして競売を取り入れてみることにはポジティブです。 

「競売」ではなく、「公的な不動産オークション」であると考えてみてもよいかもしれません。

冒頭のゴールデン街の件で言えば、ゴールデン街という新宿の歴史と文化の象徴のような場所に魅力を感じていた買い手が、競売(オークション)という国の制度を使って貴重な物件を落札した――そんな物語です。 

ちなみに、任意売却の場合は親族に購入してもらうことは債権者との協議が必要ですが、競売は、債務者以外なら買う(入札する)ことができます。 

任意売却か競売か、迷っている場合はぜひ、弊社に相談にいらしてください。競売とはどういうものなのか、どのように進んでいくのか、

それぞれのメリット・デメリットの子細を知りたい、など、どのようなことでも丁寧に説明させていただきます。 

また、「住宅ローンが払えない」というご相談はもちろんですが、相続、親子間売買などについても、ご相談内容に適したアドバイス、専門家の紹介もすべて無料で行っています。セカンドオピニオンのご相談もお受けします。まずは何でも、お気軽にお問い合わせください。

メールでのご相談は24時間受付可能。関東・銀座相談所は、土・日・祝日の無料相談会を行っておりますので、対面や電話でのご相談予約も可能です。

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「55歳から」という年齢をあえてタイトルに入れたのは、定年前の少しでも早いうちに老後に向けての対策を備えたほうがよいという意味を込めています。必ず55歳から、ということではありませんが、早ければ早いほど解決策の幅が広がります。

老後の住宅ローン問題や老後の資金計画に少しでも不安がある方に、ぜひ読んで頂きたいと思います。

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